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2011.10.27

プログレの系譜の傍流の傍流

シベリアンはメタルあがりという話を聞いたことがある人はあると思います。
メンバー全員、若い頃はハードロックやヘヴィメタルを嗜んでおりました。
私なんぞはいまだにブラインド・ガーディアンなどを愛聴しておりますし。
ちなみに最近のお気に入りはThe Last Candleです。

ただ、それぞれ多少のズレはあるにせよ、メタルに目覚めたのは大体高校生とかそれぐらいだと思います。
なのでメタル上がりではあるものの、メタルがルーツとは言いがたい。

では私の音楽ルーツはなんなのかと思い記憶をたどってみると、行き当たるのはファミコンなんですね。
ファミコンの音楽をラジカセで録音して聴いておりました。

ファミコンの音楽をラジカセで録る。
これがなかなか大変な作業でして…。
例えばうちにあった時計は親父の趣味で時刻を知らせる鐘がなるんです。
長針が0の時に時刻分の回数(例3:00/15:00なら3回、0:00/12:00なら12回)、長針が6を示すと1回(例0:30で1回)鐘がなります。
録音途中に鐘がなると、鐘の音込みで録音されてしまうんですね。
これに関しては鐘をならない設定があることを発見し、事なきを得ました。
あとよくあるのが母親がメシだ風呂だと呼びに来る。
これに関しては
「かーちゃん、今からファミコンの音録るきん、呼びにくなよ!」
「はいはい」
と母親に釘を刺す事でなんとか回避していました。

上記のような外的要因の他にも障害はありました。
例えばアクションゲームやシューティングゲームのラストステージやラスボスの音楽がかっこ良かったら大変です。
最近のゲームはコンプリート出来るのを前提に作られているようですが、ファミコン時代のゲームというのはどちらかといと「クリアできるもんならやってみぃ」というものが結構ありまして、非常に難度が高いものが多かったんですね。
目的のステージにたどり着くのも困難ですが、更に厄介なのが効果音。
こちらが攻撃したりすると攻撃音や破壊音などが入ってしまうので、ひたすら相手の攻撃をかわし続ける必要があります。
ウチは兄がなかなかのゲーマーだったので、プレイは兄、エンジニアは私か弟という役割でした。
エンジニアといっても録音ボタンを押すだけなんですが、タイミングを誤ると兄から鉄拳が飛んでくるのでこちらも命がけです。
いざ録音するとなると普段では絶対しないようなミスをしたりするあたりはなんだかレコーディングに通じるものがあったなぁ。
で、いざ目当てのステージで順調に録音が進んでいたかと思うとテープが途中で途切れて「ぎにゃぁぁ!」となったり。
他にもどれぐらいの音量でどの位置にラジカセを置いたらいい感じに録れるかみたいにいろいろ実験したり、テレビの音量つまみをゆっくり下げていく「手動フェードアウト」を発見したりと色々試行錯誤を繰り返しながら、平尾家のファミコン音楽ライブラリは着実に増えていったのです。
サントラ買えよと言われそうですが、当時のファミコンソフトでサントラがあるものは少なく、あっても子供の小遣いで買えるものではありません。

これがまぁ私が小学生ぐらいのころです。
当時は光GENJIやウィンクあたりが全盛期で、同級生は男女問わずその辺の音楽を聴いていたようですが、私はまったく聴いてませんでした。
嫌いだったと言うよりは、みんなが好きだからじゃあ俺は嫌い、という天邪鬼的な考え方でしたかね、兄弟揃って。
歌番組なんかは絶対見なかったですし、歌手とかアイドルがテレビ映ったらチャンネルを変えたり。
音楽の授業でも歌ったり演奏したりは嫌いだったので『平尾は音楽が嫌い』というのは自他ともに認める事実だったと思います。

上記のようなことを混じえながら
「子供の頃、大の音楽嫌いだった俺が音楽で身を立てようと志すとは思いませんでしたなぁ」
なんてことを20代半ばぐらいの頃、知人に話したところ
「君の話をどう聞いたら『平尾は音楽が嫌い』という結論に至るのかがまったくわからんのだが?」
という、私としては意外な答えが返って来ました。
「そら流行りの音楽は嫌い、音楽の授業はまじめに受けないとなると、音楽嫌いということになるでしょうが」
「好きでもない音楽を無理して聴くのを音楽好きとはいわんだろう」
「はぁ、それもそうですなぁ」
「大体10歳やそこらの子供が自分の好きな音楽を聴くために時計の鐘やら母親の呼びかけやら弾幕やらをかわしながら命がけで録音するなんてことはせんぜ?」
「はぁ、そんなもんですかなぁ」
「俺が思うに君は当時、同級生の誰よりも音楽を聴くことに労力を費やしていたのとちがうか?」
「そういわれればそうかも知れませんなぁ」

私自身自分の音楽のルーツは中学時代に聴き始めたX-japanやBuck-Tickをはじめとする旧世代のヴィジュアル系ロックだと長いこと思っていたのですが、20代半ばにしてファミコン音楽こそがルーツであることを再認識したのでした。

なんだか話が変な方向にいってしまいました。
ようやくここからプログレの話になるんですが、とてつもなく長くなってしまったので来週に続きます。


平尾